「ふくしまの食と心にふれる夕べ」〜郷土料理でひもとく会津の暮らし〜イベントレポート

「ふくしまの食と心にふれる夕べ」〜郷土料理でひもとく会津の暮らし〜イベントレポート
 

(2026年9月18日掲載)

中央⽇本⼟地建物グループのR&D拠点「NAKANIWA」は、森林をイメージしたユニークなワークプレイスであり、オフィスの付加価値を高める空間づくりの実験の場です。
今回は2026年1月21日に開催された「「ふくしまの食と心にふれる夕べ」〜郷土料理でひもとく会津の暮らし〜」について取り上げます。このイベントは中央日本土地建物株式会社がSENQのパブリックパートナーでもある福島県東京事務所と共同主催したイベントで、福島県柳津町に根付く食文化に触れながら、地域の暮らしの知恵や価値観について学びつつ、「食文化の継承」という社会課題について考えてもらうことを目的としています。
当日のイベントで参加者の皆様の新たな学びや出会いが生まれる瞬間を取材してきました。

イベント開催趣旨と中央日本土地建物グループの新たな挑戦について

初めに、NAKANIWAを運営する中央日本土地建物株式会社より、事業統括部イノベーション開発室(現:都市開発事業第一部虎ノ門・新橋まちづくり事業室)の成田さんが登壇。本イベントを福島県東京事務所と共同主催した理由を語りました。

「私たち中央日本土地建物グループは、このNAKANIWAの隣街区で「TORANOGATE」というオフィスビルを開発中です。弊社はこのビルの2階から5階のフロアを活用して、(仮称)虎ノ門イノベーションセンター(現:Tolaza)という官民共創施設を立ち上げます。
この施設では行政や民間企業、NPO・NGOといった多種多様なバックグラウンドを持つ人々が対話を積み重ね、社会課題の解決と経済性を両立させた仕組みを持続的に生み出していくための伴走支援を目的としています。社会課題と聞くと、どうしても高尚だったり、物々しく感じてしまうかもしれません。しかし、社会課題は私たちが気づいていないだけで、ごく自然かつ身近に存在しています。この「身近さ」こそ社会課題の厄介なポイントだと考えます。そうした社会課題のありのままの姿を、皆様には本イベントを通じて学びながら、味わいながら、楽しみながら体感していただきたい。そんな思いから、今回の共同主催が実現しました。

事業統括部イノベーション開発室(現:都市開発事業第一部虎ノ門・新橋まちづくり事業室)の成田さんが登壇

冬が楽しみになる福島県柳津町の食文化とは

次に登壇したのは、本日のゲストである福島県柳津町・柳津町中央公民館長の田崎さんと柳津町の住民のみなさん。田崎館長から、柳津町が位置する「奥会津地域」における食文化の解説が始まりました。

福島県柳津町・柳津町中央公民館長の田崎さん

「奥会津の特徴は、冬の4カ月間は雪が2〜3メートルほど積もり、閉ざされた町になる点です。つまり住民たちは自然と、雪と共に歩む暮らしをしています。
柳津町を15歳で離れてしまった私は『先人たちがこの厳しい環境をどう受け止め、どのように暮らしていたのか?』について深く知らないままでした。30歳を過ぎてからふるさとへ戻り、ようやく地域の方々に話を聞くと、返ってきた答えにとても驚きました。誰もが口を揃えて『冬は楽しみだった』というのです。
理由は、“春から秋にかけて備蓄した保存食を、冬になれば毎日のように堪能できるから”。閉ざされた町で営まれる“厳しい冬の暮らし”は、我々の想像でしかなかったといえますね」。

続けて田崎館長からは、住民が冬に向けて活用する食の保存技術(乾燥・塩蔵・発酵・燻製)について一つ一つ丁寧に解説いただくとともに、田崎館長ご自身が柳津町で取り組む圓藏寺(えんぞうじ)での飲食実験についてもご共有いただき、先人たちが培ってきた食文化の奥深さとその継承の難しさについて解説いただきました。
「本日は奥会津が有する“季節の恵み”を実際に食していただきます。存分に味わってくださいね」と話すと、参加者からは期待の声があがりました。

食文化について語り合う・ワイガヤトーク

奥会津の食文化への理解を深めた参加者たちは、次のプログラムである「ワイガヤトーク」へ。
「柳津町の食文化が都市部の方々に認知され、共感を得るためにあなたは何ができると思いますか?」というテーマに、参加者同士で意見を交わし合う時間です。

「誰を対象に?」「オンライン・オフライン問わずにどこで?」「体験やコンテンツなどを活用する?」など考えるためのヒントが出されるなか、まずは一人ひとりが紙に案を書き出していきます。

「ワイガヤトーク」の様子

以降はグループごとに輪になり、会話をしながらアイデアを共有。

会場の雰囲気は、まさにワイワイガヤガヤ。笑い声をはさみながらも、真剣に語り合う参加者たち。田崎館長も、参加者と積極的に対話を重ねていました。

参加者と積極的に対話を重ねる田崎館長

最後の発表タイムでは「保存食の作り方のオンライン教室を開催」「保存食を食べた今日の経験を、それぞれが発信する」「地域資源に誇りを持ち続ける」など、さまざまな側面からの意見が飛び交いました。

さらなるコミュニケーションの輪を広げる試食交流タイム

試食交流タイムの様子

会場全体が盛り上がってきたところで、いよいよ待ちに待った「試食交流タイム」がやってきました。会場のテーブルに用意されていたのは、柳津町の地域住民の方が、今日のために心を込めて作った郷土料理の数々です。

ゼリーのような食感が特徴の保存食「エゴ」

例えば「エゴ」は、ゼリーのような食感が特徴の保存食。海藻を水に浸したのち、火にかけながら練ったものを“型”にはめて作ります。

地域発祥の日本酒

奥会津の魅力が発見できるのは、保存食だけではありません。地域発祥の日本酒である「宮泉」「天明」「銀山街道(熟成酒・新酒)」の4種類をテーブルに並べ、贅沢な試食会がスタートしました。

試食会の様子

それぞれのテーブルで参加者が奥会津の料理を楽しむなか、そこに生まれたのはまさに「交流」です。

初対面同士でテーブルを囲み、料理の感想を伝え合う。すると食事の話題から、お互いの地元や趣味、仕事の話題に発展するなど、次々と会話に花が咲いていく様子が印象的でした。

わらびの一本付け

「わらびの一本付け」を試食した方に感想を尋ねると、「シャキシャキとした歯切れの良い食感と、春の山菜らしい力強い味わいが見事に両立している」とのこと。

ニシンの山椒漬け

「ニシンの山椒漬け」については「身はしっとりとしながらも弾力がある点に驚かされます。“熟成のある味わい”という言葉が似合うような、魚が持つ旨味を存分に堪能できる逸品でした」とのコメントがありました。

田崎館長による振り返り

あっという間にイベント開始から2時間経過したところで、終了のアナウンスが。最後に田崎館長より、本日の振り返りが行われました。

「今回紹介した料理は、実はほんの一部です。奥会津には110種類以上の保存食・伝統食があるため、気になった方はぜひ遊びに来ていただけると嬉しく思います。今後も奥会津の食と人、そして世界をつなげるきっかけ作りができるよう、活動を続けていきたいと思えるようなイベントでした」。

奥会津には110種類以上の保存食・伝統食がある

イベント参加者にも感想を聞きました。
「東京で仕事をしていますが、福島が好きで参加しました。今回の保存食のように、地域資源を根強く残すことこそが、ふるさとを輝かせる秘訣かもしれない、と気づきを得られたのが良かったです」とのこと。郷土料理を地域資源と捉えて残すことの重要性を感じたようです。

保存食を楽しむイベント参加者

また、田崎館長へNAKANIWAでイベントを開催した感想も尋ねました。
「新しい価値を作っていくという虎ノ門エリアの志は、奥会津がこれから担うべき姿と一致しています。実際に今日のイベントでは、NAKANIWAの空間でイベントに関わった皆さんがゆるやかにつながり、新たな価値が創造されていく様子を垣間見ることができました。
これからも食を結節点にし、次の世代の課題を解決できるような取り組みをしていくので、また力を貸していただければと思います」。

まとめ

郷土料理の試食にとどまらず、食文化と共に生きる現地の皆様との交流や学び、そして社会課題の身近さを体感できる貴重な機会になった本イベント。自然と調和したNAKANIWAの空間で得られた奥会津の食文化に対する本質的な気づき、そして中央日本土地建物グループがこれから進める官民共創の取組は、これからも多くの人々に新たな視点や人とのつながりをもたらしていくことでしょう。

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